「板金」と「鈑金」の違いって?一般的に言われていることより少し深く掘り下げてみた

歴史のある板金屋さんの屋号によく見かける「鈑金」の文字。

他の場所ではまったく見かけない文字なので「一体あの文字は何なんだろう?」と、気になっている方もいるかも知れません。

そんな疑問を受けてか、板金屋さんのホームページを見ると「板金」と「鈑金」の違いについて述べられてることがよくあります。

「板金」と「鈑金」の違いについてよく言われている説はコレ

鈑金屋さんのホームページでよく言われているのが以下の説。

「板」→「薄くて平たい木材
「鈑」→「薄くて平たい金属

それぞれの漢字の意味はこのとおり。

そして、自動車の板金屋さんだと扱うのはもちろん金属

よって本来は、「鈑金」を使うのが正しい

ところが「鈑」の文字は、当用漢字表にも常用漢字表にも記載がなく、公文書などで使用できない漢字となってしまっているので、仕方なく「板金」の文字を使うケースも多い。

こういう説です。

職人魂ゆえに「鈑金」の文字を使い続けている

公文書で使用できないにも関わらず「鈑金」の表記が使われ続けている理由ですが、やはり自動車鈑金業の職人からすれば、金属の加工にこだわりがあります。

だから、昔から使い続けてきた「鈑金」の文字に職人としてのプライドを感じ、今も使い続けている、ということになります。

ガレージローライドのホームページは「鈑金」?「板金」?

ところでガレージローライドのホームページはどちらを使っているでしょう?

ホームページ上では、すべて「板金」を使っています。

その理由は、当社の姿勢が関係してきます。

一般のお客様からすると「鈑金」は使わない文字です。なんとなく読めるけど、使わない。

ネットで検索するときも「鈑金」で検索する方はほとんどおらず、みなさん「板金」です。

ここであえて「鈑金」を使うとなると、その理由は「職人のこだわり」です。

「お客様に寄りそう」ということと「職人のこだわり」を天秤に掛けたとき、当社は迷うことなく「お客様に寄りそう」を優先します。

技術はお客様の満足のためのもの。技術へのこだわりはお客様の満足度を上げるための、あくまで手段である、と考えています。

そしてホームページはお客様に見てもらうためのものなので、すべて「板金」で統一している、というわけです。

スタッフ向けの文章だと「鈑金」の文字を使う方が多かったりしますよ!

ここは、職人としてのこだわりです。

「板金」と「鈑金」の違いについてよくある説にダウト!?

「ダウトォオーーーー!」って昔流行りましたね(笑)

今回、「板金」と「鈑金」について書こうと思っていろんなウェブサイトをみました。だいたいみな同じ内容のこと(さきほど上で述べた説)が書かれています。

そして気付いてしまったことが……。

みんな「金」について触れていない、ということ。

「板」と「鈑」の一文字だけ比較すればたしかに木材と金属の違いが気になりますよね。

でもどちらも後ろに「金」がくっついているんです。

「漢字って熟語になったら意味変わるよね?」
「熟語を分解して一文字だけの意味を比較するのっておかしくない?」

ということで、『「板金」と「鈑金」の違いについてよくある説にダウトォーーー!』となります。

「板金」と「鈑金」について言葉の意味を調べて考察し直してみた

「板金」という言葉の意味を調べると、「板金とは薄く平らに形成した金属である。」とあります。

つまり板状の金属っていうことです。

「板」と「鈑」の一文字だけを見てしまうと木材と金属の違いが気になりますが、「金」がくっついているので「板金」という言葉にもしっかりと金属加工の意味合いは含まれている訳です。

だから自動車の鈑金屋さんが板金という文字を使っていても意味的には間違っていない、ということになります。

さらに気になったので「鈑」の漢字についても調べてみました。

「鈑」
音読み:ハン、バン
訓読み:いたがね
意味:薄く打ち延ばした金属の板

とあります。

となると「鈑」の文字1つで「板金」と同じ意味を持っていることになります。

じゃあ「鈑金」って書くと「板金金」って意味になっちゃうの?

ややっこしい話になってきましたが、そういった入り組んだ事情もあって「鈑」の文字が使われなくなっていったのかも知れませんね。

とはいえ、歴史ある修理屋さんの屋号などで「鈑金」の文字が使われてきたことも事実。

ここでしか使われない専用の漢字ってかっこいいじゃないですか。

やっぱり職人魂をくすぐられます。

伝統を守るという意味合いでの「鈑金」の文字、大切にしたいです。