西田社長にきいてみた vol.1

この業界に入ったきっかけは?

もともとバイクが好きで、高校生の頃にバイクをよくいじっていました。その時にふと、「バイクを塗ってみよう!」と思い、缶スプレーで塗ってみたら、すごく楽しかった。

思い返してみると、小学生の頃は、プラモデルを作るのが大好きでした。

その時の感覚が一気に蘇った感じですね。

「こういう仕事につけたらいいな。」と当時思ったのがきっかけで、トヨタの専門学校に進むことになりました。

当初は整備士を目指していたんです。

専門学校を卒業後は、トヨタに就職しました。
トヨタでは、塗装板金ではなく、点検や車検をやっていましたね。

整備士にはなったものの、なんだかしっくり来なかったんです。

高校生の頃の事を思い出し、板金塗装をやりたいと強く思う様になりました。

会社に相談すると、そういう部署もある、と言われ、すぐに転属希望を提出しましたね。
募集があったタイミングで、別会社に出向するような形で移動したんです。

配属先は、設備の整っている所でした。

そこで、徹底的に板金塗装の教育をしてもらって、そこからズッポリと板金塗装の世界に入っていきました。

実際に働いてみてどうでしたか?

今の時点で、20年以上経ちましたが、この仕事に就いて本当に良かったな、と思います。

自分に向いている仕事だと思う。

募集当時、半年間の研修がありました。
自分から希望して配属されたのだから、他の人達には絶対に負けたくないと思いましたね。

一生懸命取り組んでいたら、自然と結果が出てきまして、難しい仕事も次々とできるようになってきたんです。

5年に1度、トヨタの中で全国大会があったんですが、次の大会には塗装の選手でうちから是非出て欲しいと、出向先の社長から言われました。

でもその時既に、自分には全く違う目標があったんです。

そろそろ独立して、独り立ちできるのではないかという気持ちが芽生え始めていました。

材料屋さんに「どうしたら独立できるのか。」と相談してみたり、銀行まわりを始めた時期だったんですね。

実際、次の塗装の大会の時期よりも先に、独立するタイミングの方が先にやって来ました。

独立するきっかけとなった出来事は何ですか?

東大和に異動になり、工場の最初の立ち上げスタッフとして、そこで約6年間働いていました。

その間徐々に、息が詰まる思いを感じるようになっていました。
職場の雰囲気も悪くなり、大きい会社の一歯車になっている自分がいました。
仕事は好きだったのですが、会社のスタイルが自分に合っていないように思いましたね。

技術は身につきましたが、楽しく仕事をできる日々ではなくなっていました。
仕事はこなせるがゆえに、先輩にとっては目の上のたんこぶ的な存在になり、周りともうまくいかなくなっていました。

それでも仕事だけはどんどんふられるので、仕事量は増えるものの、日々の充実感には欠けていましたね。

そんな時、渋谷店に配属になったんです。

渋谷店では、仕上がりが細かい仕事などを任されても、完璧に仕上げられる様になり、
「自分は、会社を辞めても一人でやっていける」と確信しましたね。

そんな時、お客様と大きなトラブルがありました。

大半の塗装をし直したところで、車の持ち主のお客様が他の板金工場にその車を持っていき、仕上がりを総チェックされたんです。

そのお客様は徹底した方で、納得がいかないところ全てに付箋を貼られたんですよ。

過去にもその車で、同じような事をした方だったんです。

気に入らない事があると、工場に車で入って来て、車に鍵を掛けて、自分はタクシーに乗って帰ってしまう。
車の鍵を持ったまま帰られるんですよ。

入り口に車を置かれてしまい、その車を動かせないので、他の車の出し入れもできず、従業員一同本当に困ってしまいました。

結局、大変大規模な再修理になってしまったんです。

修理が上手なトレーナーと、自分と、渋谷店のリーダーで3人で修理しましたね。
2泊3日、泊まり込みで直したんですよ。
最終的に、形にはなりましたが、それが良かったとは言い難いですね。

自分では、塗り過ぎであると思いましたが、お客さんが指摘している部分については全部直すことに専念しました。

でもその作業をしている時、トレーナーがした箇所を、自分が担当して塗り直しした事で、自分のレベルがトレーナーのレベルと変わらないんだと実感しましたね。

とても尊敬してるトレーナーの仕事の塗り直しを、自分ができてしまうという事は、自分のスキルが上がっているという事なんだ!と思いました。

この先は独立も考えみようと、真剣に思いました。

人を集めることができれば、独立も可能ではないかと思ったんです。