【プロの道具と技術】潰れたネジ山も元通り!見えない部分を支える「タップ&ダイス」

2026.05.10

車の修理をしていると、「ネジ山をなめてしまった(潰してしまった)」というトラブルに直面することがあります。そんな時に大活躍するのが、潰れたネジ山を削り出して復元する特殊工具「タップ」と「ダイス」のセットです。 今回は、板金作業を陰で支える便利で奥深い道具をご紹介します。

1. タップとダイスの違いと役割

こちらが、ガレージローライドで使用している「タップ・ダイスセット」です。細かなパーツがぎっしりと詰まっています。

主役となるのが、この2つのパーツです。

  • 右側:タップ … 「ネジ受け(穴側)」のネジ山を修正・作成する道具です。現場ではこちらを使用する頻度の方が高めです。
  • 左側:ダイス … 「ネジ類(ボルト側)」のネジ山を修正・作成する道具です。

どちらも鋭い刃がついており、この刃で金属を削り出して新たなネジ山を作ります。

2. 正確な作業に欠かせない「ネジピッチゲージ」

セットの中には、小さなノコギリのような形をした「ネジピッチゲージ」という道具も入っています。 これは、潰れてしまったネジや穴に当てて、元の「ネジ山のピッチ(間隔・大きさ)」を正確に測るためのものです。ここで測ったピッチを元に、適切なサイズのタップやダイスを選び出します。

3. 場所に合わせて使い分ける専用ハンドル

タップやダイスは、手で直接回すのではなく専用のハンドルにセットして使用します。

こちらはタップ用の「T型ハンドル」です。中央にタップをしっかりと固定し、両手でバランス良く回転させることができます。

また、このような真っ直ぐなタイプのハンドルもあります。こちらはハンドル部分が左右にスライドして可動するため、T型ハンドルが回せないような「狭い場所」での作業に非常に便利です。

こちらはダイス用のハンドルです。中央の丸い穴にダイスをすっぽりと収め、イモネジでしっかりと固定します。固定が甘いと作業中にダイスが空回りしてしまうため、確実なセッティングが求められます。

4. 慎重な手作業でネジ山を復元

準備が整ったら、写真のように手作業で慎重にネジ山を切っていきます。

この作業における最大の注意点は、「絶対に真っ直ぐに使用すること」です。少しでも斜めに刃を入れてしまうと、仕上がったネジ山も斜めになってしまい、ボルトが正しく締まらなくなってしまいます。

職人の手先の感覚を頼りに慎重に作業を進めることで、写真のように綺麗で正確なネジ山が見事に復元されます。

※もしボルト自体が中で折れてしまっているような重症なケースでは、また別のマニアックな方法を用いてネジ山を作成することもあります。

おわりに

普段はお客様の目に触れることのない「ネジ山」の修正作業。しかし、こうした細かな部分を一つひとつ確実に直していくことが、車の安全性と長期的な品質維持に繋がっています。 ガレージローライドでは、専門的な道具と確かな職人技を駆使して、見えない部分まで完璧な修理をお約束いたします。