【プロの道具と技術】割れたバンパーも強固に復活!「ワイヤーメンダー」を使ったプラスチック溶接術

2026.05.10

車のバンパーなどに使われているPP(ポリプロピレン)や樹脂製のパーツ。障害物にぶつけてしまい、パーツが「ぱっくりと割れてしまった」「ちぎれてしまった」というご経験はありませんか?

※今回は分かりやすく解説するため、処分予定のバンパーを意図的にカットして実演します。

亀裂が入ってしまった樹脂パーツは、通常であれば「丸ごと新品に交換」となってしまい、高額な部品代がかかります。しかしガレージローライドでは、専用の特殊機材を使って亀裂を強固に繋ぎ合わせることで、部品を交換せずに修復することが可能です。今回はその秘密道具「ワイヤーメンダー」をご紹介します。

1. 熱とワイヤーで樹脂を繋ぐ「ワイヤーメンダー」

使用するのは、㈱エムジィコーポレーション製の「ワイヤーメンダー」という機材です。

一見すると「はんだごて」のように見えますが、先端がクワガタの角のような特殊な形状をしています。

ここにセットするのが、この少しウネウネとした波型の「ワイヤーチップ」です。ストレートな針金よりもプラスチックへの食いつきが良く、高い強度を発揮する専用設計になっています。

2. 安全かつ正確な「溶着」プロセス

実際の作業工程を見ていきましょう。

まず、本体の先端にワイヤーチップを差し込みます。ワイヤーは一瞬で高温になるため、火傷を防ぐために必ず「電源を切った状態」でセットするのがプロの鉄則です。

電源を入れると約15秒で最高温度に達します。その絶妙なタイミングで、割れたパネル同士の高さがピッタリ合うように保持しながら、高温になったワイヤーチップを亀裂に押し当てていきます。熱でプラスチックが溶け、波型のワイヤーが奥へと食い込んでいきます。

ここで深く押し込みすぎると表面まで貫通してしまうため、職人の手の感覚でギリギリの深さを見極める必要があります。適切な深さまで入ったら電源を切り、そのまま冷却します。溶けたプラスチックが再び固まることで、ワイヤーが完全に内部に閉じ込められます。

3. 強度を極限まで高める二重・三重の補強

車のバンパーは走行中に大きな振動や風圧を受けるため、1本のワイヤーだけでは強度が足りません。

亀裂の長さに合わせて適切な間隔を空けながら、ホッチキスのように複数本のワイヤーを打ち込んでいき、ガッチリと固定します。

表面に飛び出している余分なワイヤーの足をニッパーで根元からカットします。これだけでも十分な強度がありますが、ガレージローライドではさらにその上から強力な「2液性ウレタン接着剤(PU9255SF)」を塗布し、強度を極限まで高めます。

※接着剤(PU9255SF)の詳しい解説はこちらの記事もご覧ください。 ▼バンパーのツメ割れも強力補修!樹脂パーツ専用接着剤のご紹介

4. 表面を美しく整えて塗装へ

裏面からの強固な接合が終わったら、最後に表面の処理を行います。

まずは、ワイヤーを打ち込んだことによるわずかな歪みや、亀裂の段差をサンダー(ヤスリ)で平滑に削り落としていきます。

表面が整ったら、専用のパテを盛って本来の美しいボディラインをミリ単位で復元します。この後、塗装チームへとバトンタッチし、完全に修理跡が分からない状態へと仕上げていきます。

おわりに

「割れたら交換」ではなく、「直せるものは確かな技術で直す」。 ガレージローライドでは、こうした見えない裏側の補修にも一切の手間を惜しまず、お客様の費用負担を抑えながらも、安心・安全にお乗りいただける高品質な板金修理を提供しています。